異世界のサラリーマン [逸話]
パソコンがまだマイコンと呼ばれていた頃の話である。
1970年代の終わり頃、8ビットパソコンが各社から発売され、とうとう情報化社会の到来かと巷で騒がれ始めた。
まもなくカセットテープに記録されたゲームや実用プログラムが販売されるようになるのだが、パソコンを活用しようとすると、プログラム言語をを覚えて1から組み上げるか、雑誌に掲載されているものを打ち込んで実行してみる以外に方法がなかったのである。
プログラミングに慣れてくれば、実用的なプログラム(まだアプリケーションと呼べるような段階ではない)を組み上げることも可能だが、パソコン自体の性能も速度も満足のいくものではなく、現在のように一般ユーザーが気軽に使えるほどではなかった。
しかし、パソコンメーカーは他社よりも性能の良い物を安く提供することでユーザーの支持を得ようと競争を始めていたし、街の電気店は時流に乗ろうとパソコンコーナーを新設し、電気店街ではパソコンショップが雨後の筍の様に誕生していた。
インターネットもパソコン通信もなかった時代である。
情報源となるパソコン雑誌も数誌発行されてはいたが、有用なプログラム自体が絶対的に不足していたため、パソコンを使う人達は暇を見ては店舗を訪れ、雑誌に掲載されたモノや自作のモノを交換し合っていた。
また、店舗はメーカーからもたらされる情報の収集や他のユーザーとの情報交換の場であり、プログラムを自作しようとするユーザーにとっては欠かすことのできない場所でもあったのだ。
1981年の夏、平日の午後…。
とある電気店に40代くらいのサラリーマン風の男性がやってきた。
くわえタバコのまま2Fのパソコンコーナーへやってきたその男性は、階段を上りきったところで立ち止まり、周りをきょろきょろと見回したあと、何かに驚いたかのように呆然と立っていた。
男性の正面には、当時発売されたばかりの FM-8。
その横には、ディスクユニットを従えた PC-8001。
BASIC MASTER LEVEL 3、 MZ-80B、VIC1001等々。
文字ばかりが映し出されたブラウン管と、その前に置かれたタイプライタの出来損ないのような機械が、壁際の陳列台の上にずらりと並べられている光景は、男性の目には、さぞ異様なものとして映っていたに違いない。
ふと我に返った男性はタバコを持ったままだったことに気づき、また辺りを見回し、 FM-8 へと近づいて何かをしたあと、そそくさと階段を下りていってしまった。
PC-8801 よりも早く 640×200 ドット8色のグラフィックを搭載し、ポータブルメモリの魁とも言えるバブルメモリスロットを備えた FM-8。
半透明の蓋を開けると、バブルメモリスロットはサラリーマン風の男性によって灰皿と化していたのである。
1970年代の終わり頃、8ビットパソコンが各社から発売され、とうとう情報化社会の到来かと巷で騒がれ始めた。
まもなくカセットテープに記録されたゲームや実用プログラムが販売されるようになるのだが、パソコンを活用しようとすると、プログラム言語をを覚えて1から組み上げるか、雑誌に掲載されているものを打ち込んで実行してみる以外に方法がなかったのである。
プログラミングに慣れてくれば、実用的なプログラム(まだアプリケーションと呼べるような段階ではない)を組み上げることも可能だが、パソコン自体の性能も速度も満足のいくものではなく、現在のように一般ユーザーが気軽に使えるほどではなかった。
しかし、パソコンメーカーは他社よりも性能の良い物を安く提供することでユーザーの支持を得ようと競争を始めていたし、街の電気店は時流に乗ろうとパソコンコーナーを新設し、電気店街ではパソコンショップが雨後の筍の様に誕生していた。
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インターネットもパソコン通信もなかった時代である。
情報源となるパソコン雑誌も数誌発行されてはいたが、有用なプログラム自体が絶対的に不足していたため、パソコンを使う人達は暇を見ては店舗を訪れ、雑誌に掲載されたモノや自作のモノを交換し合っていた。
また、店舗はメーカーからもたらされる情報の収集や他のユーザーとの情報交換の場であり、プログラムを自作しようとするユーザーにとっては欠かすことのできない場所でもあったのだ。
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1981年の夏、平日の午後…。
とある電気店に40代くらいのサラリーマン風の男性がやってきた。
くわえタバコのまま2Fのパソコンコーナーへやってきたその男性は、階段を上りきったところで立ち止まり、周りをきょろきょろと見回したあと、何かに驚いたかのように呆然と立っていた。
男性の正面には、当時発売されたばかりの FM-8。
その横には、ディスクユニットを従えた PC-8001。
BASIC MASTER LEVEL 3、 MZ-80B、VIC1001等々。
文字ばかりが映し出されたブラウン管と、その前に置かれたタイプライタの出来損ないのような機械が、壁際の陳列台の上にずらりと並べられている光景は、男性の目には、さぞ異様なものとして映っていたに違いない。
ふと我に返った男性はタバコを持ったままだったことに気づき、また辺りを見回し、 FM-8 へと近づいて何かをしたあと、そそくさと階段を下りていってしまった。
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PC-8801 よりも早く 640×200 ドット8色のグラフィックを搭載し、ポータブルメモリの魁とも言えるバブルメモリスロットを備えた FM-8。
半透明の蓋を開けると、バブルメモリスロットはサラリーマン風の男性によって灰皿と化していたのである。
こんにちは。
70年代後半から80年代初頭にかけての当時の環境が、詳細に表現されてて貴重な情報なので、今後の拙Blogの参考にさせていただきます。
あと、バブルメモリスロットは灰皿以外に、ペンケースとして活躍した逸話を聞いたことがあります。
by M_t (2008-12-20 10:31)
M_t さん、コメントありがとうございます。
ペンケースとして利用していたという話はよく聞きますね。
バブルメモリを使うには、バブルホルダ(85,700円)を別途購入してスロットに取り付けないとダメでした。
FDDユニットを購入するよりも初期投資は安く済みましたが、32KiBの容量で35,000円のメモリはランニングコストが高くつくので普及しないだろうなと感じた記憶があります。
by Thunderbolt (2008-12-20 13:33)
早速・・来ちゃいましたよ。。。
素晴らしい隠れ家(!?)ですね。。。
やはりブログはあった方が良いですね。。。
私のブログは現在、くら~いネタばかりでしたので、
今後はThunderboltさんに負けない様な、
昔のPCネタでも持っていきましょうかね!!('-'*)
まだベーマガが捨てられずに・・・
1つの本棚を占領してますので(でも85年からなんですが・・)
楽しい話題を提供出来る様に頑張りますよぅ~!!
今年も宜しくお願いします。(゜゜)(。 。 )ペコッ
えみゅなびの「まつ」より・・・
by まつ (2009-01-03 23:57)
まつさん、早速の書き込みありがとうございます。
まつさんの元気な声が聞けたのが今年一番の喜びです^^
こちらは、まだまだ記事が少ないので申し訳ないのですが、少しずつ暴露(笑)していきますよ。
本館サイトはソフトウェア情報を充実させることを目標にしてます。
資料にはあまり不自由していないのですが、がんばって公開できる形に仕上げて行きたいと思っています。
こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします(_^_)
by Thunderbolt (2009-01-04 18:11)